愛知県一宮市内の病院に入院した女性=当時(80)=が、身体拘束で苦痛を受けたとして、病院側に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(近藤崇晴裁判長)は26日、「拘束は緊急でやむを得ない行為だった」などとして、身体拘束の違法性を認めて病院側に賠償を命じた女性側逆転勝訴の2審判決を破棄、女性側控訴を棄却した。拘束は正当とした1審判決が確定した。
同小法廷は「身体拘束以外に女性の転倒などを防ぐ適切な方法はなく、拘束時間も必要最小限だった」と指摘。「患者の身体抑制はやむを得ない場合にのみ許されるが、病院のとった拘束は緊急でやむを得ず、違法ではない」と判断した。患者の身体拘束の違法性が争われた裁判で最高裁が判断するのは初めて。 身体拘束をめぐっては、精神病院には特例が認められているが、一般病院には拘束を認める根拠となる法令はない。厚生労働省は平成13年、高齢者ケアのための「身体拘束ゼロの手引き」を作成し、例外的に許される基準として、危険が差し迫っていることや、ほかの手段がないことを挙げた。一方、逆に拘束しなかったために転落や転倒で負傷したなどと主張し、患者や家族が医療機関に損害賠償を求めるケースもある。 1、2審判決などによると、女性は同市内の一宮西病院に入院中だった平成15年11月15日夜から翌朝、ナースコールを繰り返し、大声を出すなどした。このため、看護師はミトン(手袋のような抑制具)を使って女性をベッドに拘束した。女性はミトンを外そうとして負傷した。女性は1審途中で死亡したため、遺族が訴訟を受け継いでいた。 1審名古屋地裁一宮支部は不必要な身体拘束は避けるべきだとしながらも、拘束は、生命や身体に切迫した危険があったからだと認定。方法も必要最小限だったとし、合法と判断した。 これに対して2審名古屋高裁は「患者を拘束して身体的自由を奪うことは原則として違法」と指摘。身体の危険が差し迫っていたわけではなく、看護師らが適切に対応するなど、ほかの手段がなかったわけでもないとして、拘束は違法と結論づけ、病院側に計70万円の支払いを命じていた。 【関連記事】 ・ 院内感染で兵庫県が過失認め和解 遺族に約2300万円支払う ・ 医療過誤 水俣市が1千万円支払いで和解へ ・ 「再度手術すれば生存」日赤に4千万円賠償命令 ・ 帝王切開後のミス認定 岐阜県に8400万円賠償命令 ・ 乳房切除で説明不足 日赤に220万円賠償命令 津地裁 ・ 水俣病訴訟 和解協議始まる 不知火患者会と被告(毎日新聞) ・ 郵便不正事件 27日に村木被告の初公判(産経新聞) ・ 電気カーペット パナソニック電工製で焼損事故 リコール(毎日新聞) ・ 千葉真子さんが子供たちに“夢”指導 滋賀・草津(産経新聞) ・ 第2次補正予算案 衆院本会議で与党3党などの賛成で可決(毎日新聞)
by sstsg0sm1b
| 2010-01-28 14:59
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